朝なら白、夜に会うなら、黒を着る。
私がまるで被害者の顔をして事故を嘆き、姉を悼むことが出来るのは白の時だけと、そう決めた。きっと死んだ姉が私なら、同じようにすると思うからだ。
「なにしに来たの」
黒を身に纏った私と会うルピアは、いつもそう冷たく言う。
薬の匂いが充満した部屋の中、包帯にくるまれた姿は痛々しくて目をそらしたくなる。けれど、これが現実だ。両目が残った私はしっかりと見なくてはならない。
「謝りに」
「もういいって、何度も言ってる」
「でも」
「誰のせいでもないわ」
私たち三人は、誰も知らない魔法を作りたかった。何よりも強力で、何よりも素晴らしい魔法を。もう二度と私たちが誰からも傷つけられず、奪われることもないように。
けれど、結局、それは私たちには過ぎたものだった。
理論は完璧、けれど実験の段階に入って、私たちは他でもないその力に全てを奪われたのだ。
姉は私を庇って死に、ルピアは光を失った。
客観的に言えば、姉が焦りすぎていた。改良点はわかっている。けれどもう、そんなことに意味はない。
「退院が決まったの。村に帰る」
包帯の下で、ルピアはくすりと笑った。
焼け野はらになっていた彼女の故郷は、今彼女の祖父がいるという。
「たまには二人で会いに来て」
私の中に双子の姉を見ているルピアに、私は「ええ」と嘘をついた。
書いたの:2016/1/23深夜の創作ワンライにて
お題:嘆きの白、贖罪の黒 朝と夜
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